2017年4月10日 更新

尾木ママが日本の教育界に一石を投じる

テレビなどでは、いつもニコニコ優しい笑顔と春風のような語り口でお馴染みの、“尾木ママ”こと尾木直樹先生が、日本の教育界の根深い問題を鋭く抉り、また同時にその解決に指針を示す新著;「取り残される日本の教育-わが子のために親が知っておくべきこと-」 をこの度、講談社+α 新書から上梓されました。 読後感としては、我々にお馴染みのあの優しいイメージとは全く違う、厳しい論調だなあというもの。でもそれは、尾木先生が日本の子ども達の将来を誰よりも真剣に憂える“教育者”だからであり、この著作の中にその思いの丈を込めているからなのでしょう。

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まさに崖っぷち、日本の教育界

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日本は教育レベルが高い、確たる根拠もなくそう思い込んでいる人も多いのではないでしょうか。確かに低くはないとはいえ、教育先進諸国と見較べると、我が国の教育の諸システムはすっかり硬直化し、問題意識を喪失した状態にながらく浸かったままで、ソフトウェアとして破綻しかけている。そしてそういった教育を受け続けてきた我々自身が、学力とは、学びとはそんなものだと盲従的に思い込んでしまっている。その危険を顧みなければ将来的に重大な禍根となる。まさに今が改革のラストチャンスなのだと、尾木先生は強調しています。
この本の中で、様々なデータや教育関係者の言葉を丹念に引用しながら、先生は終始熱く語り続けています。ともすれば、本としては読みづらくなってしまいそうなテーマですが、先生が本気でこの現実に危機感を持っているからこそ、具体的に判り易くプレゼンテーションしようとしているのでしょう。

多くの人が、社会に出たら教育、ことさら学校教育とは距離があきますから、自分と関係のあるものとして考えることはしなくなるものかもしれません。
でも、わが子が学齢期であれば、何をどう模索を続けているのかもわかりにくい日本の教育システムに、大事な自分の子どもの身を預けなければならないのです。
教育が社会に与える直接的な影響は大きくないように感じるかもしれませんが、決しておざなりに考えていてはいけないことだと思うのです。

尾木先生の本気度

教育は、言い方を変えれば人間の成長とは、もっと自由であっていいはずで、体制や画一的な方向性のようなものに規定されていいものではない。であるのに、自覚しないうちに我々は真綿で締めつけられるようにヒタヒタと何者かに締め込まれつつある。これはゆゆしき状況だと、先生は警鐘を鳴らしています。

我々はこれを「読んだら終わり」で済ませてしまったらいけないと思います。税金などの金融問題に比べて、教育の問題は一見そこまで切実ではないように感じてしまうかもしれませんが、未来の世代にわたる影響の大きさは経済問題以上といっても決して過言ではないように思えるからです。
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mimi mimi